第3者恋
「でも、良かったの姉ちゃん…?」

「なにがー?」

「だって午前中から機嫌よく『水永先輩の家で勉強するんだ〜』って言ってたのに…。」

「ふぇ?!」

「…、無自覚だったんだ…。恐るべし姉ちゃん…!」


そんな事、天翔に言ってたっけ?

浮かれてたのかな…、
久々に水永先輩の家に行くことに…。


それを弟である天翔に言うなんて…、私のバカーーーー!!!


せっかくお姉ちゃんらしい所を見せたかったのにこれじゃいつもと同じだよ…。


「姉ちゃんって本当に分かりやすいよね」

「天翔のバカーーー!」


本当に私の弟は…、なんでこんなにイタズラっ子のような顔をしているの?!


確かにまだ中学1年生だけど…、天翔は大人っぽいからほとんどその仮面が崩れないのに…!


たまに崩れると意地悪なんだよね〜


「姉ちゃんって蒼さんの事、好きなの?」

「…うん…。」

「じゃあ!…、何でもない。」

「え!そこで止めないでよ〜」


私はあまり人の気持ちを読む事ができない。


だから、『何でもない』と言われてしまえばそれ以上追求できなくなってしまう。


「あ、そう言えばね水永先輩って元ヤンだったらしいよ」

「へぇー、あんなに優しそうな人なのにね…。ま、優しい人程怒ると怖いって言うもんなのかもね。」

「あーね、水永先輩本当に怖かったよ」

「って、蒼さんのガチギを経験してるとは…。」


しかも2度も…。


1回は私の事だったけど、2回目は自分で自分に怒ってた感じ。


怒らせないようにしないと。あの水永先輩は2度と見たくなかったから…!
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