届け 〜手紙に乗せた思い〜
ギイィィ……
重々しい屋上のドアが開いた。
誰かが屋上に来たんだろう。
「部長…」
聞き覚えのある声に呼ばれ振り返る。
「お前は確か…」
「雪さんの友達の美由です、お忘れですか?」
いつものぶりっ子口調とは違い低く怒ったような声だった。
「何の用だ?」
「いつまで優子とかいうブス女と付き合うおつもりですか?」
「は?」
「雪さんと会うのは初めてではないんですよ、部長は」
俺と工藤が初対面じゃない?
フッ…。
「なわけないだろう、初対面だ」
「本気で言えますか?貴方の消えた記憶の中にいるかもしれないのに?」
俺の消えた記憶の中に?
何故俺が記憶喪失になっていることをしっている?