届け 〜手紙に乗せた思い〜

ナイフとホークを動かし、慣れない手つきで何とか完食した。


食べ終えると手を引っ張られ、夜景が良く見えるレストランの近くの公園に連れてこられた。


公園といっても手入れがされてなくて、放置された雑草が生い茂る公園。


「これ…返すね」

そう言って渡されたのは酸化した手紙。

「でもッ…」

「大丈夫、言わないよ。馬鹿だよね、大人の癖にこんなことしてさ」

確かに、でもそれを言えば私もだ。

「私も…私も馬鹿ですよ。相手は忘れてるのに私のことを嫌ってるのに、また思い出してくれるんじゃないかとかごめんねとか昔みたいに笑ってくれるんじゃないとか思うんです」


昔はみたいに、無邪気なあの笑顔を見せてくれるんじゃないかって思ってしまう自分がいる。


馬鹿みたいに期待して勝手に傷ついて。

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