恋時雨

かっちゃんが一通り説明を終えた頃、またドアが開いた。


――ガラガラ


「おい、2年そうそう遅刻かよ。もう少しビシッとしろよー」

「すいませーん」


寝ぐせなのかワックスなのか、ツンツンの黒髪に大きなシャツ、ズボンを引きずりながら入ってきたそいつは、あたしの隣にどかっとすわった。

と思ったら、もう寝息をたてている。

「木村、寝るな」

木村と呼ばれたこいつは、かっちゃんの声なんて聞こえないかのように寝続けている。

あたしだって眠いのに、頑張ってるのに。隣で堂々と寝られると悔しい。
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