恋時雨

「楠木、木村起こしてやってくれ」

「えっあたし?」

頬杖をつきながらボーっとしていたあたしは、自分の名前が呼ばれるなんて思ってなかったからびっくりした。

「木村くーん。起きて」

仕方なくあたしは隣で寝ている"木村くん"を叩いた。

そんなあたしを確認して、かっちゃんはまた話始める。


「ん~?何?」

"木村くん"が眠そうに目をこすりながら聞いてきた。

「別に。かっちゃんが起こせって言うから」

「まじで。でも俺眠いから寝るわ。ごめんね、楠木さん」


何こいつ。

これがあたしの、こいつへの第一印象。

思いっきり嫌いなタイプだ。せっかく新しいクラスの隣の席の格好いい人、期待してたのに。

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