Seven days【短篇】
「うわ、まじか? やっべえ」
目を覚まして時計を見ておおいに焦る。デジタル時計の表示は13:40。
どうやら寝過ごしてしまった金曜日。今更学校に行ってももう遅い。
何で誰も起こしてくれなかったんだと恨めしく思いながら、傍らですやすやと寝息をたてているクロを起こさないようそっとベッドを抜け出して、飲み物をとりに階段を降りていると……
がちゃり。階段の降り口にある玄関が開いて姉が帰ってきた。
「あら? 大吾早退したの?」
「……え?」
「夕べは晩御飯も食べないで寝ちゃってたけど、朝は元気にいつもみたくバタバタやって出てったじゃない。やっぱ調子悪かったの?」
姉の台詞を聞いたとたん、また昨日の悪寒が襲ってきた。
学校に行った? 俺が?
そんなはずない。今起きたばかりだ。
眩暈を覚えて階段の壁にもたれると、姉が慌てて階段をあがってきて俺の額に手をあてた。
「あらやだ、すごい熱よ。寝てなさい」
ふらふらしながらなんとか台所まで行って、ペットボトルのイオン飲料とクロの餌を調達して部屋に戻りベッドに入る。全身がだるくて、節々が痛む。
風邪かあ……と、溜息つきながら横になると先ほどの姉の言葉を思い出してまた憂鬱な気分になった。自分に夢遊病の気はなかったはずだけど……いや、やっぱりおかしい。
月曜日から金曜日。自分自身に覚えはないのに立て続けに人に見られてる。俺はいったいどうしたんだろう?
ごくごく平凡な日々を過ごすいたって普通の俺に、一体何が起きたというのだ?
こんな、上手く説明できないわけのわからない……。
翌日の土曜日。学校は休み。朝起きたら幾分体調は落ち着いた気もしたが、なんだか外にでるのが嫌で、一日を家ですごす。
誰かに会うとまた妙なことを言われるかもしれない。またあんなこと言われたら、と思うとなんだか怖くて。携帯の電源まで切ってしまった。
週があければきっと体調も落ち着くし、また普段の一週間が始まるはず。今週はちょっとおかしな週だっただけ……そう思い込むことにして、多分心配してるだろう留美に胸のうちでゴメンと手を合わせた。