狂おしいほど愛おしい
「えっと・・・細川悠大って言います。俺のことは気軽に下の名前で呼んでください。・・・って愛海!!!?」




悠大も愛海に気づき、驚いた弾みで大きな声を出した。



「なんだ。菊池の知り合いか?後ろの席が空いてるな。細川、そこで良いか?」


「あ、はい」




ガタッと椅子の音がした。後ろから小声で「よろしく愛海」という声がした。




愛海は振り向いて笑顔で答えた。





HRが終わり、悠大に話しかけようとしたら、既に悠大の周りに人が集まっていた。



「ねーどこの高校から来たの?」
「広瀬だよ」




「彼女とかって居るの?」
「うん。まあね」




「彼女も広瀬なんだ?」
「秘密ー」




「愛海とは友達なだけなんだー」
「うん、昨日友達になった」






一つ一つ愛想よく答えていく悠大。




彼女、居たんだ・・・まああんだけ美人だったら放っとかないよね。





授業が始まりそうになり、みんな席に着き始めた。



そのとき、悠大が話しかけてきた。





「愛海・・・!次の授業抜け出さねぇ?」



愛海は一人でよく授業を抜け出したりしていたが、友達とはまだなかった。


「うん!いいよ!!」




嬉しくなって答えた。




「そーと決まれば屋上行こうぜ!」




悠大は強引に愛海の手を引っ張って教室を出た。





教室はざわざわという騒音でいっぱいになった。








――雄大は儚い目で愛海と悠大の繋がれた手を眺めていた――
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