私の最後の愛
「チッ、めんどくせぇな。」
煙草を灰皿に押しつけてそう呟いた。

「若、着きました。」
紅の声で本家の扉を車は潜った。
紅が素早く回って俺の方の扉を開ける。

門から本家まで続く砂利道には厳つい顔したじじいたちが整列している。
俺に気づいた奴らは
「若!お疲れさまです!」
「おかえりなさいやし!!」
口々にそう言った。


本家に入り長い廊下を歩いて「会合部屋」と墨で書かれた札の前で止まる。
襖越しに、
「 龍だ。帰ってきた。」
そう言うと、両側の襖が滑るように開く。

部屋を見渡すと、上座に親父。その少し後ろにお袋。さらに後ろは親父の側近、氷希と蓮史。
氷希は俺らと盃をかわしている多田組の会長。今は息子が組を継いでいる。こんなとこで何やってんだって。
廉史は紅の父親。
親父の下は同盟組んでる組の幹部たち。名前は知らねぇ。
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