私の最後の愛

「ごめんなさい。私のせいで龍が。」
龍は私のせいで撃たれたと言ってもいいぐらい。

「顔をあげなさい、希。極道ってモンわね相手を庇ってる場合があったらそれを踏み台にして上に行くもんよ。それは龍も重々承知してる。龍が希を護ったのは希を護りたかったからよ。それが龍の答えよ。」

杏さんは淡々と口を開く。

「希ちゃん。ご飯食べましょう?」菊がそう言うけどとてもじゃないけどそんな気分ではなかった。

「ごめんなさい。私、荷物まとめたら病院行きます。」

「エントランスに廉史が回してる車があるわ。それで行きなさい?私達も後で行くわ」
杏さんの言葉に頷いてエレベーターを降りる。

エントランスは綺麗に掃除されていて龍の朱は無い。
その事に少し安心した。
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