私の最後の愛

体力の限界でビルの陰で息を整える。
やっと、息が整った頃足音が聞こえてきた。

足音は1人。きっとさっきと違う人だろう、ここら辺の家の人だ。
そう思っていても、足音は私の方にどんどん近づいてくる。
私のいるビルの角を曲がった足音は、まだスマホを耳にしているあの人。

(ミツカッタ、モウサイゴダ。ゴメンオカアサン)
ぎゅっと目を閉じると体は震える。

「っっ、あ、いやぁ、こないでっ、はぁっっぅ」
私のカラダは尋常じゃないほどに震える。

「...あぁ、見つけた。見たからして熱がある。...あぁ、行く。」
頭の上から降ってきた言葉は低音の声。だれかと電話していたみたいだった。

その人は私の目線までしゃがんで私めがけて手を出す。
「っは、っは、やめて!さわらないで!」
必死に抵抗するもその人の手は止まらない。
抵抗を止めると、手は私の額に触れる。

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