私の最後の愛
すると、更に激しく抵抗する。
だが女の力は俺にとって赤ん坊みたいだ。
抵抗をやめた希の額に手をつけると熱い体温が伝わってくる。
俺はすかさず着ていたコートを脱ぐと希にかける。
すると、希は驚いたように目を見開いて俺に礼を言おうとした。
でもアイツらが来た。
角を曲がったところで俺は虎たちを止める。
「退け。おれで十分だ。」
俺がそう言うと虎たちは大人しくひいた。
希に向き直ると虎達を見て震えていた。
それからプツリと糸がきれたように地面にくずおれた。
希に駆け寄ると苦しそうに顔を歪めていて熱に魘されているようだった。
希を抱き上げるとありえないぐらい軽かった。
抱き上げた途端希の目からは一筋の涙が流れる。それがとても苦しそうで俺は指で涙を拭き取った。
路地裏から出るといつの間にか回されていた車が止まっていた。
希を抱いて車に乗ると助手席の虎がニヤニヤしながらこっちを見る。
今はそんな余裕はない。
「俺の家へ行け。それと、神町を呼んでおけ。」