私の最後の愛

「うん、わかった。」
私は適当な紙袋を持って寝室に向かった。

side龍
希が袋を持って寝室に行ったのを目で追っていた。
アイツが笑うと花が咲いたようだ。
希の笑顔を見れるのは俺だけでいい。
そんな事を思っていても、虎も一瞬頬を染めた。

「惚れんじゃねぇぞ。その袋、全部そこ置いといていい。
で、佐田組はどうなった。」

「もちろん。龍とはライバルになりたくない。
佐田組は、希ちゃんが消えた事を分かっている。だから向こうの情報屋も頑張ったみたい。桐生組が希ちゃんを引き取ったとこまで調べられた。」

「で、どうして桐生組に入るか考えてるわけか。」
「今日は繁華街には行かない。先に降りて車を用意しとけ。あと、希の護衛を増やせ。」

わかったと、言い虎は部屋から出ていった。
煙草を吸っていると、寝室の扉がゆっくりと開いた。
「似合ってる?」
希は漆黒のワンピースに身を包んでいた。ワンピースは体のラインがはっきり分かって、丈は長いが太股当たりにスリットが入っていた。
< 32 / 155 >

この作品をシェア

pagetop