私の最後の愛
車の側に立っている男の人が扉を開ける。

「初めまして。若姐さん。俺は新崎 紅。虎と同じく若の側近です。何とでもお使い下さい。」
顔を見ると、目のあたりに縦に大きい傷跡があった。
そのせいか、片目は見えにくそうで細めている。

「はじめまして。紅さん。私は若姐ではありません、希とお呼びください。」
そう言って腰を押している龍に続いて車に乗る。

車に乗るとすかさず龍は私の腰に手を回す。

私は諦めて大人しく手を回されていた。

「どこ行くの?」

私の髪を撫でている龍に聞いた。
「買い物。」
「繁華街?」
「ちげぇ。」

繁華街だと心配していた私は安心した。
繁華街には行きたくなかった。

「繁華街、嫌だろ。まぁ、俺も嫌いだがな」
「うん、正直あそこにはもう行きたくないかな。」
困ったように笑うと、
「そんな顔するな。過去は振り返らなくていい。俺がお前の過去を黒く消してやる」

ドヤ顔でそんな事を言う龍にクスリと笑った。でも同時にそう言ってくれた龍に安心した。

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