私の最後の愛

天井も同じだし、腕に刺さってる針も同じ。

「おはよう」

女性の穏やかな声が横から聞こえ、首を捻る。
そこには妖艶に微笑む綺麗な女性。

「初めてよね?私は龍の母の杏よ。」
その言葉を聞いて理解する。

「っっ!ごめんなさいっっ」
挨拶ししていない事に気付いて起きようとすると、

「いいわ、そのままで。」
肩をトンと押され、私の身体はベッドに沈んだ。

「龍はどこですか?」
そう聞くと杏さんは笑を深めた。
「希をこんな目にあわせた奴らにお仕置きをしてるのよ?」

コンコンッ
「あら、夫が来たわ。」そう言って椅子を立ち上がった。
病室のドアが開き入ってきたのはガタイのいい男の人。龍にそっくりだった。
< 61 / 155 >

この作品をシェア

pagetop