私の最後の愛
天井も同じだし、腕に刺さってる針も同じ。
「おはよう」
女性の穏やかな声が横から聞こえ、首を捻る。
そこには妖艶に微笑む綺麗な女性。
「初めてよね?私は龍の母の杏よ。」
その言葉を聞いて理解する。
「っっ!ごめんなさいっっ」
挨拶ししていない事に気付いて起きようとすると、
「いいわ、そのままで。」
肩をトンと押され、私の身体はベッドに沈んだ。
「龍はどこですか?」
そう聞くと杏さんは笑を深めた。
「希をこんな目にあわせた奴らにお仕置きをしてるのよ?」
コンコンッ
「あら、夫が来たわ。」そう言って椅子を立ち上がった。
病室のドアが開き入ってきたのはガタイのいい男の人。龍にそっくりだった。