私の最後の愛
黒く濁った瞳は俺しか見えていないようで。
「なにが、あった。」
希の頬に手を滑らすと
「......とら、のっ目がっっ」
必死に濁った瞳を俺に向け懇願してくる。
虎を見るといつものふざけた雰囲気はない。
仕事中はずっとこんな調子だ。
しかし、希を脅かすとすれば消す。
「虎、その目を希に向けんな。その目潰すぞ」虎に凄むと困ったように眉を下げ笑う。
「ごめんね?希ちゃん。」
虎の穏やかな声にようやく顔を上げる希。
「お前が怯えるものは全て消してやる。お前は前だけを見ていればいい、希の進む道を整えてやる。」