私の最後の愛
「挨拶遅れましてすみません。改めて桐生希です。」
顔を上げると穏やかな顔をしている杏さんと龍輝さん。
「希ちゃん、緊張しないで?こんな鬼畜と結婚してもいいの?断ってもいいのよ?もちろん貴女を捨てたりしない。」
杏さんの目には強い気持ちが見えた。まるで私を試すように。
「おい、お袋。」
いつの間にか私の隣に座っていた龍が低い声を出した。
「お前は黙っとけ」
龍とそっくりな低い声が耳に届き方が震える。
「あんたたち、やめな。」
その2人を収めたのは杏さん。続いて言ってごらんと優しく声をかけてくれる。
「ありがとうございます。私の居場所はもう龍の隣しかないんです。龍が私を捨てるなら私は迷いなく闇へ身を投げます。それぐらいもう龍の存在は私にとって必要不可欠なんです。」