私の最後の愛

「喋り過ぎました。」
すごいと思った。外にいる組員さんだけでも多いのにこの廊下を歩いているだけで沢山の組員とすれ違った。そんな人たちの行動を全て頭に入れてるって。

私にそんな事が出来るかな。そう思っていると

「こちらです。俺はここにいます。」
促された扉を開けると沢山の織物と反物、着物が沢山あった。
その真ん中に座っているのはもう50歳くらいのおばあちゃん。
「来たかね。あんたが龍坊の嫁さんか。私は軽木 美代子。桐生の着物や着るものを作ったりしてる。さて、外に出るんだろ、何を着ていく?」

ここは衣装室みたい。
着物の柄が沢山並んでいる箪笥へ行き選んだ。

「美代子さん、これがいいです。」
私が持った柄をみて美代子さんはニコリと微笑んだ。
「よう似合うやろ」
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