私の最後の愛

side 希

美代子さんに着付けしてもらって化粧もしてもらって鏡の前に立つと私じゃないような私が写った。

着物は真っ黒な色で金箔が散りばめられていてとても綺麗だった。
そして膨ら脛の方から胸にかけて昇り龍が描かれている。
派手なわけでもなく薄いわけでもないけどすごい存在感があった。

前に龍と初めて繋がった時私が果てて闇へ呑まれようとしてた時に一瞬龍の背中から肩、首に巻きついている龍を見た。
龍の背中を守ってるように私を睨みつけていた。

「......ま、......希...希ちゃん?」
美代子さんに顔を覗き込まれていて我に返る

「顔赤いけど大丈夫かい?帯つよく巻きすぎたか?」
「大丈夫です!ありがとうございます。」
「ならいいけど。アンタの髪は綺麗だからね。流しといた方がいいわ。それより、龍坊の我慢の限界じゃない?行きましょう。」
壁にかかっている時計を見るともう30分以上は経っていた。
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