不思議に不思議な彼女と僕
そのどれもこれもが、色も絵柄もバラバラで、大きさも形もまるで違う。
どこにでもあるような同じ柄のセットは一つもない、ひどくチグハグなこの便箋と封筒が、この店の唯一の商品。
外観がボロ臭いだけで既に怪しさ全開なのに、置いてある商品がまた、その怪しさに拍車をかけている。
「痛っ!?」
突然頭頂部を襲った痛みに、棚に向けていた視線を前に戻す。
いつの間にかすぐそこに、ハタキを手にしたエプロン姿があった。
「何するんですか」
「失礼な事を考えていそうな顔をしていたので」
痛む箇所を手でさすりながら抗議すると、彼女は語気を強めて言い放ち、また背を向けてパタパタとハタキを振りながら歩き出す。
初めて訪れた時には、朗らかな笑顔を浮かべて清楚に佇んでいたのに、今ではまるで別人のように、平気でひとの頭をハタキの柄で叩く。
きっと普段は猫を被っていて、本当はこっちが素なんだろうけれど、仮にもお客相手にハタキを振り下ろすのはどうかと思う。