不思議に不思議な彼女と僕

周りの他の商品と同じように、透明なアクリル板に挟まれたそれを、彼女から少し離れた位置で立ち止まって眺める。


「新しいやつですか」

「気がつきました?」


彼女が何も言わないから、沈黙を埋めるように口を開いたら、嬉しそうな声が返ってきた。

持ってくる時点で既に気づかせようという意思が見え見えだったが、今更そこに突っ込む気はない。

彼女の視線の先にあるのは、白地にワンポイントで花のイラストが描かれた封筒。


「今朝届いたばかりのほやほやです」


彼女は嬉しそうに目を細めて笑う。

その笑顔は、どこか無邪気で子供っぽい。

まるで、道端で綺麗な花を見つけて喜んでいる子供のよう。


「こちらを持ってきてくださったのはですね、なんと!中学生の女の子なんですよ」


無邪気な笑顔が、更に嬉しそうに華やぐ。

まるで、見つけた花を指差して“お母さん、見て見て!”と騒ぐ子供のように。


「中学生で気持ちを伝える手段に手紙を選ぶだなんて、とんでもないセンスを感じますよね」


うっとりと語る彼女は、きっとメールが主流のこの時代“手紙”という手段を選ぶ全ての人達にセンスを感じているに違いない。
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