+colors
01.encounter
──‥
あれは12年前の夏の日の夕暮れ。
小高い丘の公園で,夕日を背に俺と君は遊んでいた。
君は俺の初めての友達で,そして初恋の相手でもあった。
勝ち気な君に俺は何をやっても負けていて,まるで男の子みたいな女の子だった。
俺はガキながらも,彼女とずっと一緒に居たいと思った。
この楽しい思い出もずっと忘れないで居たいと。
でも‥あの日君は─。
『可哀相に,まだ6歳なのにねぇ‥』
『命に別状はないみたいだけど,意識が戻らないらしいわ。』
あの日,君は俺の放ったボールを追いかけた。
車の急ブレーキ音に驚いた俺は彼女の元に走った。
でもその時君は血まみれで‥‥。
俺は怖くて逃げてしまった。
泣きながら夕暮れの道を歩く背後には,サイレンの音が鳴り響いていた───。