君の中で世界は廻る〜俺様ドクターの唯一の憂い〜
きゆは流人のあまりにも軽くていい加減なふざけた質問に涙が溢れた。
「バカ、どれくらい心配したと思ってるのよ…」
きゆは流人の胸を激しく叩いた。
確かにあの流人を待つ何時間かで、一気に老け込んだかもしれない。
でも、それくらいに不安で心配で怖くて怯えていた事実を、流人は何も分かっていない。
「ごめん…
ふざけ過ぎた…
俺も、まだ、気持ちが高ぶったままなのかもしれない。
あの凄まじい状況の中で、こんな風にきゆとまたご飯が食べれるなんて、夢にも思わなかったからさ。
ま、今、こうやってここに居れるのは、本当に奇跡だよ…」
きゆは涙を拭いて苦し気な表情を浮かべ、流人の顔を見た。
「マルは? 大丈夫だった?」
流人は病院に着いてすぐにシャワーを浴びたため、きゆは詳しい話を聞けずにいた。
流人は疲れ果てた顔をしているきゆを自分の方へ引き寄せ、優しく肩を抱いた。
「マルは、めっちゃ、カッコよかったよ…
マルにとって本田のおじいちゃんは全てなんだ。
何があってもおじいちゃんの事を裏切らないし、離れたりもしない。
だから、おじいちゃんの事を信じて、雨風の中、耐えて待ってた」
流人はさりげなく自分の涙を拭った。