君の中で世界は廻る〜俺様ドクターの唯一の憂い〜
「その後、光浦のおばあちゃんも乗せてきたんだ。
あんな凄い場所に家が建ってるのに避難しないって言うからさ、聞いたらニャンコがいるからだって。
だから、ニャンコもおばあちゃんも抱えて連れてきたよ」
きゆは涙を浮かべたままクスッと笑った。
「流ちゃんは、動物のSOSが聞こえるんだね。
そのニャンコたちも、きっとおばあちゃんを守るために、流ちゃんを呼んだんだよ」
流人はハッとした顔をしてきゆを見た。
「そうかもしれない…
だって、俺が、チビとチロの名前を一回呼んだだけですぐ姿を現したんだ。
おばあちゃんが驚いてた…」
流人はまた更にきゆの肩を強く抱いた。
「もう一つ驚く話があって…
じつは、帰り道が全部塞がれててどうしようもないところに、光浦のおばあちゃんが抜け道を知ってるって、凄い道じゃない道を走ってきた。
何度も危険な目にも遭って、もうダメだって思う事もあったけど、こうやって無事に家に辿り着いたのは、本当に奇跡としか思えない。
で、おばあちゃんに、その道の事を聞いたんだ。
そしたら、おじいちゃんのお墓がある場所に続く一本道で、お墓の場所から町に抜ける小さな道があるのを知ってたらしい。
でも、その道は人が通れるほどの細い道で、普段はおばあちゃんが墓参りに行くくらいしか人は通らない道だって」