君の中で世界は廻る〜俺様ドクターの唯一の憂い〜
流人は雨が打ちつける窓の方を見ている。
「そしたら、おばあちゃんがこう言ったんだ。
おじいちゃんが守ってくれたって…
生きてる頃に、何かあったらこの道を使えばいいっていつも言ってたって。
チビもチロもおばあちゃんも、おまけに俺もマルも、光浦のおじいちゃんに助けられたんだ。
凄いよな… おばあちゃんがあの道を知らなかったら、俺らはここにはいなかった…」
きゆは光浦のおばあちゃんの事は何も知らなかったけれど、でも、心から感謝した。
「俺さ、死を身近に感じて切ないくらいに思ったことがあるんだ…
死ぬ時はきゆのそばで死にたいって…
だから、今は死ねない、早く、きゆの元へ帰らなきゃって、ずっと思ってた…」
きっと、今が一番台風が近づいている時間帯だ。
建て物が揺れるほど、外は、雨と風が渦巻いている。
「流ちゃん……
私も死ぬ時は流ちゃんのそばがいい…
今日でもう嘘がつけないって分かった…
私は流ちゃんを愛してる。
きっと、流ちゃんが私を想うよりも深く…
今日で気づいたなんて言わない。
本当はずっと前から分かってた。
分かってたけど…
素直になれなくて、我慢することが私の進む道だって、頭ごなしに自分に言い聞かせてた。
でも…」