君の中で世界は廻る〜俺様ドクターの唯一の憂い〜
流人はもういいよっていう顔をして、きゆの涙を指で拭いてあげた。
「ううん、流ちゃん、ちゃんと言わせて…
私、流ちゃんを愛してる、誰よりも愛してる」
「うん、分かってる、何度も聞いた」
きゆはまたふざけている流人の頬を軽くつねると、流人は怒ったふりをしてきゆを強く抱きしめた。
「……流ちゃんと結婚したい」
きゆの目から大粒の涙が溢れ出した。
自分が素直になると同時に、これからきゆが進もうとしている道に、流人の両親の顔が浮かんでは消える。まだ、その部分は自分に自信はないし、大きな弱みであることには違いない。
でも、それ以上に、流人が大切だった。
「もちろんだよ。
きゆは俺と結婚する、それは、きゆが生まれた時から決まってることなんだ。
それに、もう、ぐらつくなよ。
ぐらつくだけ時間の無駄だから。
でも…」
「でも?」
きゆは流人の耳元で優しくそう聞き返した。
「俺が、どんな決断をしようと、絶対に俺について来る事。
きゆの意見は関係ない。
いや、きゆにとって、一番ベストな方法をちゃんと考える。
だから、何も言わないで俺についてきて」