君の中で世界は廻る〜俺様ドクターの唯一の憂い〜
「いいよ、べりっと剥がしちゃって。
スーツケースの中でガチャガチャならないように止めてただけだから」
流人は典型的なO型人間だ。四角い部屋も丸く掃いてしまう。
このプレゼントは何か分からないが、こんなべっとり貼るなんて…
きゆは流人の話は無視して、それでも丁寧に時間をかけて剥がし進めると、自分の胸の鼓動がどんどん大きくなるのが分かった。
「流ちゃん、これ…」
そのガムテープにグルグル巻きにされていた小さな箱の中身は、可愛らしいダイヤをあしらった綺麗な指輪だった。
「貸してみて」
流人はきゆからその指輪を取り上げて、きゆの左手の薬指に優しくはめてみる。
「これは俺が選んだんだ…
きゆのイメージにあった綺麗な指輪を…
気に入ってくれた?」
きゆはもう一度流人に抱きつき、泣きながらキスをした。
「気に入るに決まってるじゃん…
流ちゃんが私のために選んでくれたんだもの…
流ちゃん、本当にありがとう、嬉しくてたまらない…」
流人はきっとにやついているのだろう、キスをしながら流人の歯の感触を何度も感じたから。
「でも、あれは止めてね。
こんな大事な物をガムテープでぐるぐるするなんてあり得ないから」
流人はキスをしながら肩をすくめた。
大切な物だからこそ転がらないように貼ったんだろ?と、心の中でぼやきながら。