君の中で世界は廻る〜俺様ドクターの唯一の憂い〜
「サンタって結構楽しいんですね」
この小さな島も師走は何かと忙しかった。
きゆはあの誕生日の夜に流人と話した事は、とりあえず、自分の胸の中にしまった。
流人がどんな風に二人の未来予想図を描いているのか、きゆには分からない事だっかたから。
でも、自分の意見はちゃんと言えた、今は、それだけで満足しなければ前へは進めなかった。
「きゆ、サンタからのプレゼントって俺達からは何も準備しなくていいの?」
クリスマスイブを翌日に迎えた23日に、流人が、突然、きゆにそう聞いてきた。
「プレゼントは園の方で準備するって言われてるけど…
それに、今から私達が何かプレゼントを用意するにしても、もう時間がないよ。
人数だって多いし、そんなすぐに調達できるお店だってないし…」
「そっか… ちゃんとした花屋もないしな…」
流人は小さくため息をついた。
「あっ、そういえば、施設のスタッフから何か歌ってほしいとか言われてる?」
きゆは流人の突拍子な質問にちょっと笑ってしまった。
「ううん、何も言われてない。
流ちゃんの仕事は、クリスマスパーティーをしている時間にサンタの格好をして出てきて、おばあちゃん達にプレゼントを配ってほしいって、それだけ」