君の中で世界は廻る〜俺様ドクターの唯一の憂い〜
きゆはドキドキしながら、流人の登場を待っていた。
流人が席を外した後もお年寄り達と談笑し、きゆは楽しい時間を過ごした。
すると、スタッフの人がきゆに合図をして、流人の登場を教えてくれた。
流人はまるでこそ泥のような動きでビクビクしながら、会場に入ってきた。
きゆが思ってた以上に、クオリティの高いサンタクロースだ。
衣装はもちろんのこと、白い大きな髭に赤い三角帽の下には白い髪の毛までついていて、きゆの目から見ても、これが流人だなんて多分言われなければ分からなかった。
ましてや、お年寄り達は、きっと、絶対に誰だか分からない。
「皆さ~ん、メリークリスマス!」
流人はノリノリだった。
「ワタシ、ハ~~、サンタクロース、デ~ス」
日本人ではないサンタさんを演じているらしい。
きゆは可笑しくて笑うのを必死に我慢していると、近くで目が合ったスタッフも苦しそうな顔をしていた。
お互い顔を合わせないようにした。そうしないと吹き出してしまう。
流人はクルクル回りながら、そこにいるおじいちゃんやおばあちゃんにプレゼントを配り始める。
白い大きな布のふくろ中は、施設のスタッフの愛が入っている。
流人はそのスタッフの気持ちを汲みながら、どうぞとそこは日本語で渡しているのが、また、きゆ達の笑いを誘った。