君の中で世界は廻る〜俺様ドクターの唯一の憂い〜
二人はソファに座り目の前にあるツリーを見ながら、シャンパンを飲んだ。
今日、きゆは、流人の家に泊まる事になっている。きゆの両親がそうすすめてくれた。
「流ちゃん、私からのクリスマスプレゼント…」
きゆはきれいにラッピングした小さな箱を流人に渡した。
「何だろう?」
「流ちゃんはもう何でも持ってるから、プレゼントするものが全然思い浮かばなくて、でも、こうやってこの島で生活している事をいつか思い出してほしいなって考えて、これにしたの」
流人が箱を開けてみると、そこにはシルバーの鎖のついた小さな透明の小瓶が見えた。
流人はそれを手に取り指にぶら下げてじっくり見た。
「その小瓶の中の砂をよく見てみて」
流人は目を細めてジッと見たが、ただの白い砂にしか見えない。
「何だろう?…
ごめん、きゆ、分からない」
きゆはその小瓶を流人から預かり、軽く振って見せた。
「昔、この島の砂浜のある海岸では、星の砂がたまに取れたりしたの。
今はもう見れなくなっちゃったけど、私が子供の頃はまだかろうじて取れる場所があって、目の細かいざるを持って家族でよく海に行った。
1㎏の砂にあって一粒か二粒…
私はこの星の砂を集めるのが大好きで、いつも父につき合ってもらってよく海にへ行って、ざるを振るのに一日かけても惜しくない変わった子だったの」