君の中で世界は廻る〜俺様ドクターの唯一の憂い〜
流人は星の砂の入った小瓶を胸元で力強く握りしめると、きゆの方を見て微笑んだ。
「今度は俺からのプレゼントだな」
ソファに座ってシャンパンを味わっていたきゆは、驚いて流人を見る。
「え~、クリスマスはもういいからねって言ったのに?」
「誕生日は誕生日、クリスマスはクリスマス、そこはちゃんと区別をつけなきゃ」
流人はでも少しだけ躊躇していた。
きゆの反応次第で、心がぽきっと折れてしまうかもしれない。
でも、急ぎ過ぎだとか焦り過ぎだとかそんな風に言われたとしても、流人には全く関係なかった。
人の意見で左右されるような、そんな人間じゃない。
「はい、これ…」
流人はきゆに封筒を渡した。
きゆは渡された封筒が、役場の封筒だということに目を丸くした。
いつの間にか隣に座っている流人が、ウキウキなのかドキドキなのかよく分からない表情を浮かべてきゆを見てる。
きゆが封筒の中から一枚に紙切れを取り出した。
「流ちゃん…… これって……」
流人の目から見えるきゆは、決して喜んだ顔はしていない。
困惑の中に少しだけ垣間見える憧れの眼差しは、まだ流人を捉えていなかった。