君の中で世界は廻る〜俺様ドクターの唯一の憂い〜



流人は船の上からすぐにきゆを見つけた。

でも、とりあえず何も知らないふりをしよう。
俺がここまで来るのにどれだけの苦労をしたか、それは後でじっくり話して聞かせればいい。
今はこれから始まる新しい仕事と生活のために、ここに来てくれている地元の人達の信頼を得ることが先だ。

流人は船から降りると、役場の上の人からの挨拶を受けた。


「池山先生、この過疎の進んだ島へ短期でも来てくれたことに心から感謝しています。
本当にありがとうございます。

あと、ここに集まってくれている人達へ、何か一言挨拶をしていただければ嬉しいのですが」


「あ、いいですよ」


流人はいつものように軽く返事をし、頼まれもしないのに段になっているコンクリートの上に立った。


「島の皆さん、こんにちは~~~

東京の方からしばらくこの病院を手伝いにきた池山流人です。

よろしくで~~す」


流人の軽くて簡単な挨拶に皆あっけに取られていたが、その後の流人のさわやかな笑顔でなんとなく水に流された感じだった。


「足立さん、ちょっと来て」


役場の人に呼ばれたきゆは、流人の前に立たされた。








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