君の中で世界は廻る〜俺様ドクターの唯一の憂い〜
「え?? 来週?…」
きゆは動揺を隠し切れない。
自分勝手で思い込んだら即行動に移す流人の性格はよく知ってはいたものの、きゆに関してはいつも穏やかできゆの意見を尊重してくれた。
「帰るって?…
だって、まだ、ここの病院でする事があるのに?…」
きゆはそう聞くことが精一杯だった。
不安の波が少しづつ近づいてくるのが分かる。
「ごめん……
何も相談もしないで…
でも、俺自身、死ぬほど考えた。
この先、どう進んで行こうかと。
まずはこの島に残ることも真剣に考えた。でも、それはきゆが望んでいない。
俺がどういう道に進んでいくにしても、きゆが俺の側にいるってことが限定なんだ。
帰るっていっても3月まではこの病院の職員だから、何回かはここへ帰って来るよ。
院長先生に言われたんだ…
君が守るものはこの島の病院じゃないって…」
流人はもう一度きゆの手を力強く握りしめた。
「俺が守るものは、俺の先祖が必死の思いで築きあげた病院だ。
それはきゆの思いも一緒だろ?
まずは親父達をもう一度説得に行ってくる。
誠心誠意愛をこめて話してくる。
あと、急にこの病院に来てしまったわがままを許してくれたスタッフ達とも話してくるよ。
俺が、この先どう進んで行くべきなのか、もう一回真剣に考えてみる」