君の中で世界は廻る〜俺様ドクターの唯一の憂い〜
きゆは二人に深々とお辞儀をした。
誰にも相談できずにいた流人とのこの複雑な関係を、こんなによく分かってくれる人達が身近にいたことが、本当に嬉しかったし涙がでるほど感謝した。
「きゆさん、まずは食べましょう」
その後の話はほとんどがきゆへの質問タイムだった。
流人との出会いの話や、働いていた病院での話、院長夫妻は楽しそうに話しを聞いて、時には大笑いをした。
楽しい時間はあっという間に過ぎ、きゆがそろそろ帰り支度を始めていると、院長先生がきゆにそっと教えてくれた。
「僕は流人君からお願いをされたんだよ。
きゆちゃんは以前のトラウマで寂しさに耐えられなくなっているから、院長先生と奥様できゆを盛り上げて下さいってね。
そのお礼は百倍にして返しますのでって言ってたよ。
彼は面白いよね…
僕も家内も流人君の大ファンなんだ。
きゆちゃん、寂しくなったらいつでも遊びに来なさい。
僕たちはいつでも大歓迎だから…」
きゆは胸が詰まって何も言えなかった。
流人に愛されている…
その事を院長先生は遠まわしに私に伝えてくれた。
流人君は、きゆちゃんを誰よりも愛しているんだよ…