君の中で世界は廻る〜俺様ドクターの唯一の憂い〜
「ごめんな…
中々、帰って来れなくて…
でも、ちゃんと迎えに来ただろ?
俺は約束はしっかり守る男なんだぞ」
流人はそう言いながら、今度は流人の方から力強くきゆを抱きしめる。
抱きしめながら、流人は窓から見える壮大な海と空の景色を眺め、更に心に大きく誓った。
「きゆ、東京へ帰る日の月曜の朝に、婚姻届、役場に出しに行くぞ」
きゆは抱きしめられながら、小さく頷いた。
でも、ずっと我慢していた事柄を聞きたくて、つい小さな声で口走ってしまった。
「流ちゃん、院長先生と奥様はなんて?」
流人は、きゆを抱きしめる力をふっと少しだけ抜いた。
「いつかは……
いつかは、分かってくれるだろ……」
「……うん」
きゆはもうこれ以上何も望まないと自分に言い聞かせた。
流人と結婚できる……
それだけでも、きゆにとっては奇跡に近い出来事なんだから…
でも、いつかは、分かってもらいたい…
いつかは、認めてもらいたい…
だって、流人の両親の事を私は大好きなんだもの…
でも……
院長先生、奥様、ごめんなさい…
流人さんと結婚する私を許して下さい……
必死に泣くのを堪えているきゆはとても不憫だった。
流人はそんなきゆを愛おしく抱きしめ、優しくキスをする。
「必ず、いつかは認めてくれるって。
だって、あの二人は、きゆの事は大好きなんだから」