君の中で世界は廻る〜俺様ドクターの唯一の憂い〜
流人は診察室に入り机の椅子に座った。
「レントゲンもあるし、こじんまりとしてるけど、これで十分だよ。
手術室はある?」
流人は立ち上がり、隣の処置室に入った。
「傷口を縫う程度はできる感じだな」
きゆは目を輝かせて病院内を見て回る流人を、ぼんやりと見ていた。
流人がこの島のこの小さな病院にどうして来ることになったのか、いや、それよりも、あの忙しい池山総合病院の流人のシフトは一体どうなったのか、きゆは流人に聞きたいことだらけだった。
「………流ちゃん?」
流人は驚いた顔できゆを見た。
「あ、きゆが、流ちゃんって呼んでくれた……
俺、きゆが記憶喪失にでもなってんじゃねえかって、内心、心配してたんだ…」
きゆは流人の目が見れなかった。
大好きなはにかんだ流人の笑顔は、きゆの心をかき乱す。
「……流ちゃん、何しにここへ来たの?」
「え??」
流人はそんな事も理解できていないきゆに驚いた。
「え???」
きゆは流人の驚いた顔に、逆に驚いた。