君の中で世界は廻る〜俺様ドクターの唯一の憂い〜
「流ちゃん?…」
流人はきゆを抱き寄せてじっと黙っている。
「……髪、切ってくれてありがとう。
きゆにお礼がしたい…
してもいい?……」
「お礼?」
きゆは流人の肩にのせている自分の顔を引き戻し、そう聞いた。
「分かった…
じゃ、選ばせてあげる。
このままキスをするのがいいか、それともベッドに連れて行かれるのがいいか…」
「え? その二つしかないの?」
きゆは間近にある流人の目を見つめてまた聞いた。
「うん、何なら、出血大サービスで両方でもいいよ」
「…バカ」
きゆはそう言うと、流人の腕から逃れようとした。
「お礼は……
させてよ……
キスだけだからさ…」
流人はまた強くきゆを抱き寄せると、流人の髪が散らばった新聞紙の上できゆに激しくキスをした。
……ゆっくり、優しく…
流人は頭の中で何度も言い聞かす。
でも、きゆを欲しがる流人の本能は、きゆの甘い味から逃れることができない。
「…りゅうちゃん」
かろうじて流人から顔を離したきゆは、今度はきゆの方から流人を抱き寄せた。
「流ちゃん……
お茶にしよっか……」