君の中で世界は廻る〜俺様ドクターの唯一の憂い〜
「瑛太、そんな毎日来て大丈夫なの?
夏祭りの会計の仕事も、この間、話した事以外何も進展もないのに…」
きゆは診察室を気にしながら小声でそう言った。
瑛太が頻繁に病院へ来るようなってからというもの、流人の機嫌は最悪だった。
「今日は、俺の方がきゆに相談にのってもらいたいと思って。
夏祭りの協賛金の件なんだけど…」
「あ、花火大会のやつね。
田中医院はいつも大きく名前が載ってたっけ?」
瑛太はすまなそうに小さく頷いた。
「院長先生が具合が悪い時にどうかとも思ったんだけど、毎年、協賛金出してもらってるし、今年もきっとそうだろうと思って」
きゆは瑛太が話し終わらない内に、何度も頷いた。
「分かった。今日にでも先生に電話して聞いてみる」
瑛太はそんなきゆに手を合わせ済まないと言った。
きゆは奥から冷えた缶ジュースを持ってきて瑛太に渡すと、瑛太はそれを一気に飲み干した。
外は真夏の暑さだ。
外で仕事をしている瑛太にとって、きゆからの差し入れは最高に美味しかった。
「足立さん、別に院長先生に電話しなくてもいいよ。
俺が、その協賛金出すから」