HEAVEN ROAD
収まらないイライラのやり場に困りながら、アパートの前まで歩くと見覚えのあるバイクが止まっている。
「翔?」
黒のバイクの横には煙草をくわえた翔の姿があった。
地面には吸殻がいくつも落ちている。
「カナちん、さっきはごめんね。腕大丈夫?」
ここでずっとあたしを待っていたんだ……
まだ寒いのに……
あたしは翔に駆け寄り、手を触った。
「温かい。良かった」
「えっ?!何が?!」
「なんでもない。こっちのこと。で、どうした?」
よく見ると翔は制服を着ていないし、一度家に帰ったのかもしれない。