HEAVEN ROAD

収まらないイライラのやり場に困りながら、アパートの前まで歩くと見覚えのあるバイクが止まっている。



「翔?」



黒のバイクの横には煙草をくわえた翔の姿があった。



地面には吸殻がいくつも落ちている。



「カナちん、さっきはごめんね。腕大丈夫?」



ここでずっとあたしを待っていたんだ……



まだ寒いのに……



あたしは翔に駆け寄り、手を触った。



「温かい。良かった」



「えっ?!何が?!」



「なんでもない。こっちのこと。で、どうした?」



よく見ると翔は制服を着ていないし、一度家に帰ったのかもしれない。
< 110 / 877 >

この作品をシェア

pagetop