HEAVEN ROAD
豊が一瞬見せた、悲しそうな顔をあたしは見逃さなかった。



いやっ、見逃せなかった。



あの日、鏡の中に写っていたあたしと同じ顔だったから……



「豊だって行けるって!!」



「俺は無理だよ」



「なんで?」



聞いてしまった後に不味いと思った。



きっと豊はこのことは触れられたくない気が……



「俺は恨まれてるから。恨まれるようなこともしてきたしな。そんな人間天国になんか行けないだろ?」



「これからだよ。死ぬまで決め付けるな。間違っていたって思うなら変えればいい」



「ははっ、変えればいいか……サンキュー」



そんな風に素直にお礼を言われたら調子が狂う。



憎まれ口叩いてるくらいが豊には丁度いいな。
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