HEAVEN ROAD
豊が帰ってから数分後、部屋から翔が出てきた。
重苦しい顔付きで、乱暴に扉を閉める。
あたしは車から降りて翔の前に立つ。
「カナ……ちん」
あたしの顔を見るなり、困惑した表情になる翔。
「話がある」
「うん。わかった」
あたしは車の中へと戻り、すぐに話を始めた。
遠回しに何かを聞いたり話したりするのは苦手だ。
だから、本当に扉を閉めたと同時に話し始めた。
「3人の関係を教えてくれないか?」
翔は下を向いたまま、何も言わない。
「翔が好きだった、もしくは彼女だった女がなんで豊と付き合ってんの?」
「そんなことまでバレてんだ」
少し顔を上げながら、翔は窓の方を見る。
「外出てるんで」
すっかり、その存在を忘れていた運転席のお兄様はそういうなり、車の外へと出ていった。
突然すぎて、返事をすることさえ忘れていた。