HEAVEN ROAD
「豊の言うとおり、翔は豊を恨んでいてその当て付けか?どんな理由があろうと今は豊の彼女だろ?友達を裏切ったんだぞ」
人を好きになることをまだ知らないあたしは翔を攻め立てた。
誰かを好きになるってことが、頭で考えるほど簡単なことじゃないってことを、この時のあたしは知らなかった。
「ごめん……わかってるんだ」
「何がだよ?」
「裏切りだって」
「じゃあ何で?」
公園で見た豊の姿を思い出すと、翔に腹が立って仕方ない。
「今日、静香に呼び出されたんだ。豊の家に……俺はまだ静香のこと好きだから……止められなくて」
自分のために翔の事を振っておいて、そんな女のことコイツはまだ好き?
あたしにはまったくもってわからない。
「あたし、好きになったこととかないから翔の言ってることわかんないわ」
「わかってもらえなくていいよ。俺はカナちんの彼氏なのにカナちんのことも裏切ったし……ごめん」