HEAVEN ROAD
「痛てぇよ!!」



廊下に出ても引きずられるあたし……



「悪りぃ」



豊の手がパッと離され、やっと自分の足で歩ける。



「翔置いてっていいのか?」



「気のきかねぇ女だな」



「何がだよ?」



病院を出た途端に煙草を加え、火を点ける豊。



5月に入ったばかりの空は透き通るように青くて、だいぶ温かくなってきた。



黒のセダンはあたし達が降りた場所に止まっている。



大輔さんはずっと待っていたのかと思うと申し訳ない。



スタスタと歩き、車に乗り込んでしまった豊の背中を小走りで追い掛けた。
< 225 / 877 >

この作品をシェア

pagetop