HEAVEN ROAD
豊の言うようにだいぶ温かくなってきた。



天気のいい日なんかは、制服一枚で日向ぼっこしていると気持ち良くて眠たくなる。



木々にも緑の葉がつきはじめ、こうしてまた新しい季節が始まるんだ。



どんなことが起きたって1年は変わらずに過ぎてゆくし、季節も再び巡ってくる。



来年のあたしはこの地で何を思い、何を感じて生きているのだろう……



「やっと着いたな」



パッと離された手のひらは、やはりじっとりと汗ばんでいた。



あたしは豊の部屋に入りながら、何故だか緊張している。



「なんか飲むか?」



「今はいい」



初めてこの部屋に来たときに寝かされていたソファーに腰を下ろす。



「お前の家、両親いないんだよな?」



突然、家族の話をしだした豊に頭の中がハテナマークでいっぱいに…



「あ、うん。いない」



どうして突然ウチの話?
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