HEAVEN ROAD
「カナ!!」



あたしは豊に抱き締められてるんだ。



名前を呼ぶ声と共に腕の力が強くなる。



「淋しいって言ったって何も変わらねぇだろ?」



「変わるよ」



ふわっとあたしの頭に豊の手が乗せられ、顔を覗かれる。



「変わらない……」



「変えてやる。俺が淋しくないように一緒にいてやるよ」



あの日、淋しくて泣くのは終わりにしようって決めたのに……



この土地に来るときに、自分のために涙を流すのは最後だって誓ったのに……



あたしの頬には次々と熱い涙が流れ落ちる。



一度、流れだした涙はなかなか止まってくれない。
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