HEAVEN ROAD
「俺がお前のこと連れて行ったのに、目を離したから……」



「豊のせいじゃねーよ」



「俺のせいだ。もうこんな思いはさせねぇから。また来てくれるか?」



いつもと違う豊の弱々しい顔。



ボコボコに殴られていた時だって、偉そうなことばかり言ってたのに……



「あたしは大丈夫だよ。こんなことくらい慣れたもんだ」



ポンポンと豊の頭に手を乗せると、豊は勢いよく顔を上げ、「慣れてるって……」と何か言いかけたところで翔たちが部屋へと入って来た。



「カナちん大丈夫?」



「あいつらは片付けたからな」



「片付けた?」



あたしはチータに向かって首を傾げると、翔とチータは握りこぶしを作り、あたしの前へ突き出した。



2人の拳には血が……



「怪我してんのか?」



あたしはその手を掴んだ。



「違うって。これはあいつらの。俺らがやられるわけねぇじゃん」



そうなんだ。



ホッとしたあたしはソファーに背中をつけた。
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