HEAVEN ROAD
「豊」



あたしは握られている豊の手を自分のほうへと引っ張った。



「あっ?」



「ごめん」



「何が?」



「豊の大事な日だったのに、ぶち壊しにして」



「別にそんなことどうでもいい」



冷たい言い方しかしてくれないけど、あたしの頭を撫でてくれた手は優しかった。



「おい」



「はいっ!!」



豊はその辺にいた男に話しかけた。



「すぐ戻ってくるから、バイク貸してくれねぇか?」



「どうぞ!!」



「サンキュ」



男は豊に頭を下げ、差し出すようにバイクを貸してくれた。



「豊のは?」



「実家にある」



「そっか……」



豊って本当に総長なんだな。



誰もが豊の事を憧れるように見つめている。



ただの口の悪い男だと思っていたのに。

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