HEAVEN ROAD
豊の家からあたしの家までは歩いて15分くらいだから、バイクだとあっという間に着いてしまう。
もう道も覚えたし。
「ありがと」
あたしは着ていたスカジャンを豊に返す。
「おう」
受け取ったときに触れた豊の手は冷たかった。
「手冷たいじゃん」
「これくらい平気だ」
「ならいいけど」
「お前、寒いとかってことに敏感だよな?それ以外は鈍いくせに?」
「は?あたしは繊細な心の持ち主なの」
「よく言うよ。顔冷やしておけよ」
そう言って豊は帰っていった。
顔腫れなきゃいいな。
あいつに見られたらうるさそうだし……
最近は顔も合わすことがないから大丈夫だと思うけど。