HEAVEN ROAD
「豐の家はいいな」
思わずポロリと本音をこぼしてしまった。
「そんなことねぇよ。嫌だから家出たんだし」
「豐は贅沢なんだよ」
いつもだったらムキになって言い返してくるはずの豊が何も言わない。
あたしは親と暮らしてないから可哀想だとか思われてんのかな?
豊に同情されてるのかと思うと、なんだか無性にやりきれない。
そんなふうに同情してもらうほど、あたしは可哀想な人間じゃない。
ただ少し寂しいだけで……
「帰るか」
「今来たとこだけど?!」
「授業受けるのか?」
「どっちでもいいけど……」
「なら行くぞ」