HEAVEN ROAD
握られている手をそのまま引かれ、学校を出た。
「どこ行くの?」
「実家」
珍しい。なんて心の中で思いながら、ポカポカと温かい日差しの中を歩いていた。
「どこ行くんだよ」
「いいから、静かに着いてこい」
実家の玄関を通り過ぎて、豊は事務所らしき所へと入っていった。
そこにはスーツを着た人にペコペコと頭を下げる、豊のお父さんの姿が……
作業服を着て、真っ黒な顔に必死で笑顔を作っている。
その姿は豊の目にはどう写っているのだろう。
一言も喋らない豊はそのまま家の中へと入って行った。
「ただいま」
豊の声を聞き、居間のドアからちょこんとお母さんが顔を出す。
「珍しいわね。あらっ、カナさん!!」
「お邪魔します」
スリッパをパタパタと鳴らしながら近づいてくる豊のお母さんはなんだか可愛い。