HEAVEN ROAD

「また来てくれて嬉しいわ。さぁ、入って」



あたしの腕を掴みながら居間へと案内してくれる。



「お昼食べていくでしょう?」



「あぁ、それと今日からこいつの分も飯作ってくれ」



「えっ?」



お母さんもあたしも豊の発言に驚き、目をぱちくりさせる。



「豊、何言ってんの?あたしはいいよ」



「よくねぇ。こいつ、親と暮らしてないから夜飯食ってねぇんだよ。だから頼む」



今度は豊の言葉に優しい顔をするお母さん。



「それはダメね。ご飯はきちんと食べなくちゃ。わかったわ」



「そ、そんな……ご迷惑はかけられません!!」



あたしは座っていた食卓テーブルに手を付き、思い切り立ち上がった。



「1人分も2人分も変わらないから迷惑じゃないわよ。大丈夫」



「お前は黙って言うとおりにしてろ」



「で、でも……」



他人のお母さんにそんなふうに甘えてもいいのかわからない。



でも、本当は少し嬉しかった。
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